舞台芸術のために何ができるか?

心から敬愛してやまない、新国立劇場、飯守泰次郎オペラ芸術監督が、今期をもって退任される。

さまよえるオランダ人、ローエングリン、そして、ニーベルングの指環。

美しいだけでなく、英雄の幼稚さや暴力性も含めて、心から飯守監督の音が好きだった。

飯守監督が、新国立劇場オペラ芸術監督として、最後の演目に選んだのが、ベートーヴェンの「FIDELIO」だ。

ストーリーは、まるで水戸黄門のように、陳腐で安直だと思う。

しかし、最後の一節
Nie wird es zu hoch besungen,Retterin des Gatten sein.
(夫を救った女性を讃える歌声は、限りなく大きく響く)を聴く頃には、心地良い感動の涙がとまらない。

癒しと活力を与えてくれる総合芸術に、ひとりの市井の法律家に過ぎない僕が貢献できることは何かあるだろうか?と時に考える。

劇場に通い、全神経を集中させてMusik dramaに没頭する。
そして、総合芸術の素晴らしさを、こうして語ることの他にあるまい。


(新国立劇場賛助会員懇談会にて)



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