表と裏と清と濁,弁護士業務と私の性格
表と裏と清と濁,弁護士業務と私の性格
「何事でも、自分にしてもらいたいことは、他の人にもそのようにしなさい。」(マタイの福音書より)
相手の立場に立って感じ考え,他人が望むことをするのが宗教家であるとすると,法律家はその逆を行く場面も多い。
裁判は闘いであり,相手の主張と証拠のどこが弱いか,相手の主張と証拠のどこを崩せるかということを考えている。
「相手の立場に立って感じ考え,相手の最も嫌がることを,最も嫌な時にする」
ことも,仕事をする上で必要となることも多い。
これが「良き法律家は悪しき隣人である」という言葉が存在する所以である。
しかし,この姿勢は,家族や友人や隣人としては忌避される部分があったとしても,依頼者に対してベストを尽くすという意味では,真面目そのものである。
人と人との,時に熾烈な争いや,時に欲と憎悪の連鎖の中に身を置くことを生業にする以上,表と裏を使い分け,清濁併せのみ,建前を押し出しながら本音で妥協点を探っていく姿勢が必要となる。
厳しすぎても優しすぎても素直過ぎても務まらず,ただ合理性と精神の自由さは必要であろう。
残念なことに,人として余りに優しく裏表がなく,濁を厭うがゆえに,法律家として擦切れていってしまった友人もいる。
さて,私が性格的にそういった仕事に向いているか否か?
「エゴグラムによる性格診断」の結果は次の通りである。
エゴグラムとは,
CP=厳しい心。正義感が強く理想に燃える心。
NP=愛性の心。優しく保護する心。A =大人の心。冷静に分析する理知的な心。
FC=自由な心。天真爛漫で無邪気な心。
AC=順応する心。いい子を演じようとする心。
を性格中に,それぞれどの程度の割合で持っているかを基に行う性格分析である。
私の性格は,
冷静さや合理主義(A)と,無邪気さ自由さ(FC)が高く,厳しさ(CP),優しさ(NP),AC(従順さ)は,中程度。
この弁護士という仕事に向いていると思った次第である。