非弁行為と否認(司法書士の過払金報酬を否認した例)
非弁行為と否認(司法書士の過払金報酬を否認した例)
弁護士と他士業の方々とは,よい協働関係にあり,私も他士業の仲間に仕事をお願いするし,お願いもされる良い関係を築いている。
しかし,時に徹底的に闘わなければならないこともある。
以下は,私が,破産管財人を務めた時の,とある事例。
(最判平成28年6月27日以前の事例)
破産管財人は,破産者の財産を調査し換価した上債権者に配当するとともに,破産者の経済的再生のため免責を認めてよいか調査する。
ある破産者が,破産に先立ち,とある司法書士に依頼し,サラ金X社から「140万円」を大きく超える過払金を回収し,回収額の約25%を自らの報酬とした上,残りを破産手続費用に充てている事例があった。
認定司法書士の簡裁民事訴訟代理権の範囲は「訴訟の目的の価額」が140万円を超えない範囲とされており(司法書士法3条1項6号),裁判外での交渉の場合も同様である(司法書士法3条1項7号)。
その司法書士が行った140万円を超える過払金回収の回収は,司法書士が行いうる範囲を超えており,弁護士法72条違反である疑いが強い。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
直ちに破産者と面談し,司法書士が行った業務の内容に関し,供述書を作成した。破産者は,過払金をしっかり取戻してくれた司法書士にとても感謝をしているようであり,後から供述を覆されるおそれもあったため,聴取の全過程を録音した。
その上で,その司法書士に対し,当該司法書士の行為は弁護士法72条違反であり,報酬の取得約25%の報酬を認めない旨内容証明郵便で通知した。
最終的には,破産手続の迅速性との関係から,いくばくかの「文書作成料」のみ報酬と認め,約25%の大半を取戻して和解をした。
その取戻した分は,破産債権者への配当に充てられた。
同様の事例で,司法書士が,200万円近い過払金を回収し,50万円近い報酬を取得し,報酬を差引いた「150万円」が記載されている事例,その報酬を認めない旨の通知を出したところ,
「50万円は報酬として受領しているわけではなく,破産者のお金を預かっているだけだから非弁行為ではない。」
という信じがたい抗弁をしてきたことがあった。
そうだとすれば,破産者の預り金を故意に弁護士に引き継がず,財産目録に記載させなかったのであるから,完全な財産隠しである。
いずれも,広告宣伝系事務所である。
私が懇意にしている他士業の先生方は,手堅く誠実に仕事をされている。
士業はしっかり誠実にやれば,手間暇がかかる仕事であり,広告宣伝営業で仕事を漁るスタイルは,どうも受け入れられない。
誠実に丁寧に働けば見ている人は見ていてくれ,仕事は後からついてくる,と考えるのは,古風に過ぎるだろうか?
弁護士と他士業の方々とは,よい協働関係にあり,私も他士業の仲間に仕事をお願いするし,お願いもされる良い関係を築いている。
しかし,時に徹底的に闘わなければならないこともある。
以下は,私が,破産管財人を務めた時の,とある事例。
(最判平成28年6月27日以前の事例)
破産管財人は,破産者の財産を調査し換価した上債権者に配当するとともに,破産者の経済的再生のため免責を認めてよいか調査する。
ある破産者が,破産に先立ち,とある司法書士に依頼し,サラ金X社から「140万円」を大きく超える過払金を回収し,回収額の約25%を自らの報酬とした上,残りを破産手続費用に充てている事例があった。
認定司法書士の簡裁民事訴訟代理権の範囲は「訴訟の目的の価額」が140万円を超えない範囲とされており(司法書士法3条1項6号),裁判外での交渉の場合も同様である(司法書士法3条1項7号)。
その司法書士が行った140万円を超える過払金回収の回収は,司法書士が行いうる範囲を超えており,弁護士法72条違反である疑いが強い。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
直ちに破産者と面談し,司法書士が行った業務の内容に関し,供述書を作成した。破産者は,過払金をしっかり取戻してくれた司法書士にとても感謝をしているようであり,後から供述を覆されるおそれもあったため,聴取の全過程を録音した。
その上で,その司法書士に対し,当該司法書士の行為は弁護士法72条違反であり,報酬の取得約25%の報酬を認めない旨内容証明郵便で通知した。
最終的には,破産手続の迅速性との関係から,いくばくかの「文書作成料」のみ報酬と認め,約25%の大半を取戻して和解をした。
その取戻した分は,破産債権者への配当に充てられた。
同様の事例で,司法書士が,200万円近い過払金を回収し,50万円近い報酬を取得し,報酬を差引いた「150万円」が記載されている事例,その報酬を認めない旨の通知を出したところ,
「50万円は報酬として受領しているわけではなく,破産者のお金を預かっているだけだから非弁行為ではない。」
という信じがたい抗弁をしてきたことがあった。
そうだとすれば,破産者の預り金を故意に弁護士に引き継がず,財産目録に記載させなかったのであるから,完全な財産隠しである。
いずれも,広告宣伝系事務所である。
私が懇意にしている他士業の先生方は,手堅く誠実に仕事をされている。
士業はしっかり誠実にやれば,手間暇がかかる仕事であり,広告宣伝営業で仕事を漁るスタイルは,どうも受け入れられない。
誠実に丁寧に働けば見ている人は見ていてくれ,仕事は後からついてくる,と考えるのは,古風に過ぎるだろうか?