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税理士業務開始通知

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税理士業務開始通知 名古屋国税局長に対し、 愛知県弁護士会を通じて税理士業務開始通知を行いました。 弁護士が税理士業務を行う法的根拠は主に次の二つです。 (弁護士法3条2項) 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。 (税理士法51条1項) 弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において随時税理士業務を行うことができる。 私自身、 自らの事務所の経理や税務申告は全て自前でやっており、 一定程度の申告業務等であればできないわけではありませんし、 法律相談であっても常に税の問題を避けて通ることはできません。 しかし、 この通知をもって税理士業務を始めるというわけではありません。 原則として税理士業務を行うつもりもありません(弁護士業務のみで多忙を極めておりそんな余裕は全くないというのが実情ですが)。 国税不服審判や、 課税処分取消訴訟は、 行政庁の法的処分を争う点で、 法的紛争であり弁護士マターです。 ただその前段階である顧問先企業に対する税務調査や、 税に関する事情聴取等に関する立会い権限に疑義が生じないようにするためにした 税理士業務開始通知です。 顧問先企業の税理士と、 早い段階から協働しながらがら、 問題に取り組んでいくための備えです。 なお、ちなみに税理士業務開始通知を行っても、 税理士業務を行うことができますが、「税理士」を名乗ることができるわけではありません。 税理士を名乗るには 税理士登録が必要ですから。 税理士法3条  次の各号の一に該当する者は、税理士となる資格を有する。 一 税理士試験に合格した者 二 第六条に定める試験科目の全部について、第七条又は第八条の規定により税理士試験を免除された者 三 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。) 四 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。) 税理士法18条 税理士となる資格を有する者が、税理士となるには、税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他の事項の登録を受けなければならない。

グレーへの対応(読書日記~医療ヘルスケアの法務他)

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グレーへの対応(読書日記~医療ヘルスケアの法務他) 医療行為としてどこまでが許されどこまでが禁止されるか? 医療機関の付随的行為として どこまでが許されどこまでが禁止されるか? 医薬品、医療機器、健康食品等を扱うにあたってどこまでの表示が許されどこまでの表示が禁止されるか? 白と黒が はっきりしている事例はとてもわかりやすい。 しかしこの問題の厄介なところは、 広大なグレーの領域が存在する点にあり、 そのグレーの 領域も白に近いグレーから 黒に近いグレーまで濃淡がある。 しかも事例によっては 白か黒かが 最高裁まで争われて初めて決着する場合もある(例えば 医薬品の店舗販売業者に対し インターネットでの販売を 一律に禁止した薬事法施行規則が、 新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効とされた 最高裁平成25年1月11日第二小法廷判決)。 さてこの問題、弁護士としては、はっきり白とわかっていることを白ということ、はっきり黒とわかっていることを黒ということは容易い。 しかし、弁護士が扱う法律相談の大半は、グレーであるけれどもやりたいというものだ。 この時リスクがあるからやめておいたほうが良い、というのは非常に簡単だけれども、それでは依頼者が貴重なビジネスチャンスを逸することになってしまう。 したがって、この分野における法律相談の核心( 決してこの分野に限られるわけではないが)は、想定されるリスクの内容をできる限り事前に定量的に見積もることで、リスクテイクの判断材料を提供することにある。 また、法的リスクの程度によっては途中撤退も想定されるべきであり、どこで退くか、すなわち行政指導を受けた段階で 撤退をするのか、 はたまた上記最高裁判例のように、 最高裁まで争うことを覚悟するのか? この辺りも法的リスクと経営判断のせめぎあいになる。 白と黒とグレーの判断だけではなく、グレーの濃淡の程度とその帰結を 曖昧な中、できる限り明確にできるよう、 研鑽を惜しんではならないと思う。