投稿

5月, 2019の投稿を表示しています

料理と法律②

イメージ
料理と法律② 僕が唯一 自分で作って自分で美味しいと感じられる料理が「カレー」である。 炒めて煮る。 ある時美味しいカレーを作りたいと思い立ち、カレーや香辛料に関する書籍や文献を渉猟し、 その情報を適宜取捨選択しながらで試行錯誤を繰り返し、 ある程度自分でも納得できる味に仕上がった。 アイデアと知識と情報があれば、 素人レベルでは、十分美味しいカレーができた。 法律家は紛争解決するために、 法律以外の広く浅い知識を必要とする。 車両の破損状況などから進入角と速度を推定するため、 質量保存の法則やエネルギー量保存の法則 現場に遺留された痕跡と被告人との結びつきを示すDNA鑑定など 毒物の分析に必要となる、NMRやLCMSなどの成分分析 法律家はそれらに関する専門知識はなく、自分で実験などができるはずもないが、 事件で必要となった時は、専門家の意見を聞き、専門書や論文などを読みまくって、 素人的に料理をして文章を書き上げる。 自分で書いていて牽強付会であると思うが、 意外とカレー作りに似ている。 さて美味しいカレー作りに不可欠な、 香辛料の配合などは立派なアイデアである。 このアイデアに法的保護は与えられるのだろうか? 料理と法律①で書いたように、 著作権法で保護するのは表現であり、アイデアそのものには、著作権法上の保護は与えられない。 アイデアに対する保護は、 特許権ないし実用新案権を 検討することになろう。 特許は、発明者に対し、その発明公開の引換に、その発明の独占権を与える制度であり、発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」(特許法第2条)と規定されている。 実用新案も「自然法則を利用した技術的思想の創作」(実用新案法第2条)である考案を保護ものであるが、保護の対象が「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」(実用新案法第3条)とされている。 発明の対象とする特許が 特許庁による実質審査がなされるのと異なり、考案を特許制度よりも早期に簡易に保護できる制度となっている。 料理のアイデアであっても要件を満たせば、 特許あるいは実用新案を対象となりうる。 しかし大抵の料理のアイデアは、 特許あるいは実用新案の要件であるところの、「新規性・進歩性」を満たさないだろう。 そして、特許権