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12月, 2018の投稿を表示しています

La Fille mal gardée(パリオペラ座ガルニエ)

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La Fille mal gardée(パリオペラ座ガルニエ) 2018年7月、パリ事務所旅行のメインイベントは、 パリオペラ座での観劇である。 私と妻と娘は 7月13日にパリオペラ座ガルニエ宮で、バレエ「La Fille mal gardée」を、 両親は7月14日にパリオペラ座バスティーユで「 イルトロヴァトーレ」を観劇した。 奇しくも7月14日は、 1789年7月14日バスティーユ要塞襲撃を契機とした フランス革命勃発の記念日である。 バスティーユ劇場でイルトロヴァトーレを観劇した両親は、 パリ国立歌劇場管弦楽団のオーケストラに乗って出演歌手全員がラマルセイエーズを歌う という場面に遭遇し感動していた。 私と妻と娘が、観劇したバレエ「La Fille mal gardée」も、 まさにフランス革命が勃発した 1789年に 作られたものであり なんだか感慨深い。 さて、リーズの結婚とか、御しがたい娘とも呼ばれる「La Fille mal gardée」は、愛する二人の仲を母親が割こうとし、母親は娘を金持ちのボンボンと結婚させようとするが、最後は二人は結ばれると言う、ありきたりなものだ。 音楽も、 チャイコフスキーやプロコフィエフの バレエ音楽のように 心に残るというものはない。 しかし、 パリオペラ座 エトワール、 レオノーラボラックの踊りは、 目を閉じると今でも鮮明に思い出せるほど まぶたに焼き付いている。 軽やかでコケティッシュで コミカル。 日本に帰ってから調べてみみると、 非常に下積みも長く 不遇の時代も あったようだ。 役柄に合わせ、コケティッシュで笑ってしまうほどコミカルな、手足の動きひとつひとつが 長年にわたる 膨大な研鑽の結果なのだろう。 旅の魅力はブランド品を買いあさることでも 観光客目当ての こじゃれたカフェを巡ることでもない。 歴史の積み重なった劇場で 美しい音楽と 踊りで心を満たすことの方がよほど貴重である。 心地よい感動を胸に劇場を後にしたことは、今でも鮮明に覚えている。

天下のザル法は変わるか?(民事執行法改正要綱案)

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天下のザル法は変わるか?(民事執行法改正要綱案)  平成30年8月31日法制審議会民事執行法部会で民事執行法制の見直しに関する要綱案が決定された。  この最大の注目点は 金融機関などから債務者の預貯金債権等に係る情報の取得の制度が新設されたことだ。  相手に対する判決を取得したにもかかわらず相手が支払わない場合,判決を実現するためには,預貯金債権などを差し押さえる必要がある。  しかし相手の預貯金を差し押さえるためには,これまで支店まで特定する必要があった。  勝訴判決を取得した者にとって,相手がどこの銀行と取引があるかまでは推測できる場合であっても,どこの支店と取引があるかまでは分からない場合が多い  この場合例えば A 銀行豊橋支店に差押えを行い残高ナシで空振りに終わった後、A 銀行岡崎支店に差し押さえをやった時には,もう預金は降ろされてしまった後ということになりかねない。  典型的には原野商法などの消費者被害などの事件においては,判決で勝ったはいいが相手の会社は姿を消し,加害者関係者の預貯金を支店レベルで具体的に特定できず被害の回復ができないということが多い。  預金者はキャッシュカード1枚あれば どこの支店でもコンビニであっても,預貯金をおろせるのだから、 預貯金の差し押さえなさい 支店まで特定せよというのが 不合理そのものである(勝訴判決 が紙切れになることを強要しても金融機関 の秘密を守る利益の方が 上回ると言う国策を取るのであれば,不合理とは言えないのかもしれないが)。  この間,高等裁判所レベルでは具体的に支店名まで特定しなくても預貯金の差し押さえを認める裁判例も存在した。  しかし最高裁はこのような考え方を一貫して否定し続けている(最高裁平成25年1月17日第一小法廷判決など)。  この問題はもはや立法的に解決されるほかない  今回の読んだ要綱案は,債務者の預貯金に関する情報を取得できるという点においては 上記問題の解決方法として一定の前進であるということはできる。  しかし情報の提供は差押えそのものでないのだから、 金融機関の担当者が,お得意様にこっそり情報の取得に関する決定がなされたことを伝えてしまう可能性は否定できない。  また、情報提供 された時は,情報提供されたことが債務者にも 通知さ

ローエングリンにみる「結婚」考

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ローエングリンにみる「結婚」考 普段家族でのドライブは、子供達が聴きたい音楽が優先されるため、 僕が好きな音楽を聴くことは あまりしない。 しかしひとりで遠く四国まで 登山の旅に 行った際は、 思う存分ワーグナーを聴くことができた。 この旅行のドライブで、 ニーベルングの指環4部作を除く、 さまよえるオランダ人、 タンホイザー、 ローエングリン、 ニュルンベルクのマイスタージンガー、 トリスタンとイゾルデ、 パルジファルを全曲通しで聴いた。 ここで述べる、 ローエングリンにみる「結婚」考は、数多の離婚事件や婚約不履行等に触れることで歪んでしまった一弁護士の結婚観である。 ローエングリンの「婚礼の合唱」は、 結婚式における超定番曲である。 しかし、ローエングリンのヒロインであるエルザは、 ワーグナーの音楽劇のヒロインの中で、最も救いのない女性である。 ブラバントの姫君エルザの危機にあって、 白鳥に乗った騎士が現れ、 エルザを陥れようとしていた フリードリヒを打ち倒す。 それに先立ち白鳥の騎士は、 国王をはじめとする公衆の面前でエルザに誓いを立てさせる。 Wenn ich im Kampfe für dich siege, willst du,daß ich dein Gatte sei? ( あなたのために勝負で勝ちを収めたら、私があなたの夫となることを望むか?) Nie sollst du mich befragen, noch Wissen’s Sorge tragen, woher ich kam der Fahrt, noch wie mein Nam’und Art. ( あなたは私に決して問うてはならない  また知りたいとも考えてはならない  私がどこから来たか  私の名前と素性が何であるかを) なお、 この「禁問」の音楽は とても美しく、 チャイコフスキーはローエングリンのこの部分の音楽を、 白鳥の湖の最も有名なメロディーの一部に利用している。 果たしてエルザは、禁問の誓いを初夜に破ってしまう。 白鳥の騎士は 国王をはじめとする公衆の面前で、 エルザを告発しなければならないと述べ、 そこで自らが 聖杯を守護する騎士「ローエングリン」 であると