投稿

4月, 2023の投稿を表示しています

ブラームスと「ハンガリー舞曲」裁判

ブラームスのハンガリー舞曲 をご存知だろうか? 元々は ピアノ連弾用として発表され、その後 管弦楽用などに編曲されていった。 2023年3月26日小学1年生になった長男との思い出作りのために【子ども音楽会】で、ブラームスハンガリー舞曲第5番を 連弾してきた。 https://youtu.be/c5_KG1HGL00 さて素人親子の拙い演奏をさらしたついでに、弁護士らしく法律ネタをひとつ(笑) このブラームスのハンガリー舞曲集、ブラームスの発表当時、ブラームスがレメーニの著作物を勝手に使ったということで、レメーニから裁判を起こされているのである。 もちろんブラームス当時の著作権法と、現代の著作権法では考え方が違う部分も多い。しかし、このブラームスハンガリー舞曲訴訟は、現代の著作権法に照らしても「ありがちな」争点及び判断となっているのである。 ハンガリー舞曲はジプシー音楽(ツィゴイネルワイゼン)の形式に沿い、チャールダッシュの形で作られているものが多い(緩やかな部分と急速な部分を続けた舞曲)。 ブラームスはバイオリン奏者のレメーニと演奏旅行に出かけた時にこのような ジプシー音楽に興味を持ち ハンガリー舞曲集をまとめ上げていったと言われている。 しかしレメーニは、ブラームスのハンガリー舞曲集の大ヒット後、ブラームスが自らの著作権を侵害していると ブラームスを訴えたのである。 裁判の結論は、ブラームスがハンガリー舞曲集を「作曲」ではなく「編曲」として発表したこと、元となるメロディーの作曲者(著作者)が誰にあるかわからないということで ブラームスが勝訴した。 これを 現代の著作権 訴訟に当てはめてみるとなかなか面白い。 元々のメロディーの作曲者が誰かわからないとしてもバイオリニストであるレメーニが演奏するにあたっては それなりにアレンジをしていたのであろう。 ブラームスがハンガリー舞曲集を発表するにあたって、レメーニのアレンジ の創作部分を利用しているのであれば、それはレメーニ の著作権を侵害したと言いうる。 しかしながら、レメーニの創作部分を利用していないのであれば、著作者がわからない 著作物を利用したにすぎずレメーニの 著作権を侵害したとは言えない。 この裁判を現代風に整理すると次のようになる。 ① ブラームスが利用した旋律は著作物か?      ※単なる音階の羅列や和音